顎骨の解剖
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顎骨の解剖

2017年06月19日(月)5:56 PM

<<顎骨の解剖>>

 

○STAの枝
耳下腺内で顎aと分岐して終枝となる
→下顎頚と耳介の間で耳下腺を出る
下顎後窩にて顔面横a.を出す
→arch後端にて中側頭a.と頬骨眼窩a.を出す

中側頭a.→深と浅側頭筋膜の間を走行
顔面横a.→ductと並走して咬筋外面に沿って耳下腺を抜ける
そして耳下腺と咬筋を栄養する

○顎Aの分岐  
①下顎部、②翼突筋部、③翼口蓋部

①深耳介、前鼓室、中硬膜、下歯槽
②咬筋、深側頭、翼突筋、頰筋
③後上歯槽、眼窩下、下行口蓋、翼口蓋、

翼口蓋=中顔面の汁、味担当

※花粉症
鼓索神経=下顔面の汁、味

翼口蓋は顔面と三叉のhybrid中継地→涙腺、鼻腔腺、軟口蓋 味覚、痛覚

鼓索神経は舌前2/3の味覚と、顎下節を介して舌下腺、顎下腺

○外頚Aの枝
上行咽頭、舌、顔面、後頭、後耳介、顎、STA

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●内側(舌側)からみた下歯槽神経の走行
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骨はダイナミックな組織で,改造現象により常に新しい骨と置換している。人体の骨格を構成する約200
個の骨の中において,顎骨は,歯を植立させ,歯を介して咬合力が直接的に骨内部にまで負荷されるという
特殊な環境を有する。このため,顎骨の構造は,歯の植立状況の影響を大きく受ける。

骨は一般に,外周を被覆する緻密質(皮質骨)と内側で骨髄側に派出する海綿質とに区分される。さらに
顎骨では歯根を入れる歯槽が存在するため,複雑な構造を呈する。歯根周囲の歯槽骨は,歯槽の内壁で歯根を篭状に包む固有歯槽骨と外壁の緻密質および内部の海綿質を合わせた支持歯槽骨とにより構成される。固有歯槽骨は歯根膜を介して直接,咬合力を受ける部分であり,組織学的に観察するとコラーゲン線維束からなる歯根膜主線維の一端がシャーピー線維として埋入
する束状骨とハバース層板を有する層板骨とからなっている。この部分は,X 線写真で白い線(歯槽硬線)
としてみられる。また,歯根膜主線維の他端はセメント質中にも埋入し,歯を顎骨に固定している。固有歯
槽骨の内側に連続する海綿質骨梁は固有歯槽骨に加わった力を分散する役割を果たす部分であり,咬合力に適応した走行・配列を示すと考える。
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●下顎骨の基本構造
下顎骨は馬蹄形をなす下顎体と,この後方に位置し,咀嚼筋の停止部である下顎枝(筋部)とに大別さ
れる。下顎体は,さらに歯が植立する歯槽部とその下方の基底部とに区分される。下顎骨外側面には,下顎
枝前縁から第二小臼歯で下顎体のほぼ中央の高さに位置するオトガイ孔に向かって斜走する外斜線がみら
れ,歯槽部と基底部はこの外斜線によって境される。
内部の海綿質骨梁は,外形を保持する働きをなす口腔前庭側と舌側との皮質骨間を斜めに結び,咀嚼による顎骨の歪み,ねじれに抵抗するように配列する。

インプラントを下顎に埋入する際,下顎管の位置を十分に考慮する必要がある。下歯槽神経は,下顎枝内
面のほぼ中央にある下顎孔に入り,下顎管の経過と一致して顎骨内を経過する。この際,大臼歯部までは,
下顎骨舌側壁に近く走行するが,それより方向を外方(頰側壁)に向ける。そして第一小臼歯と第二小臼歯
の間で向きを後上方で外方に変え,第二小臼歯付近で,オトガイ孔より出る。この際,下歯槽神
経はやや前方に走行した後,反回しオトガイ孔から出る。この部位を「anterior loop:アンテリア・ルー
プ」と呼ぶ。b_20160711122708424.png

下歯槽神経はオトガイ孔を出た後,オトガイ神経と名を変え,直ちに3~4本の終末枝に分かれ,扇状をなして上方に放散し,オトガイと下唇の皮膚に分布する。オトガイ神経は広域に分布するが,分布範囲によって下唇枝,オトガイ枝,口角枝に細分される。そのため,粘膜切開の際には,神経の走行範囲を十分に理解する必要がある。また,分枝の中で下唇枝は太い神経が1本で下唇に向かう場合と2本以上で様々な方向から下唇に向かう場合があり,神経損傷でその後の治癒過程に差が出るのはそのためであると思われる。
下顎管は有歯顎時,周囲の骨壁は非常に薄いのが特徴である。特に上壁は上方に動・静脈,神経の枝を出すため,薄く,多孔性である。また,有歯顎時には歯に向かう下歯槽神経の枝である歯枝を骨が包み,下顎管様構造を呈することがある(図3)。この動・静脈,神経の枝の束が大きい場合,下顎管とほぼ同程度の太さの枝がみられる場合がある。
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舌神経は,下歯槽神経の前内側を,しばらく密接して下行する。この部位で舌神経は時として,下顎骨内
面に沿うように走行するため,智歯部歯肉の遠心切開などの際には,絶対に切開を舌側に施してはならない
(図5)。口腔に出ると,方向を前方に変え,全体として前上方に凹湾した弓状経過をとり,顎下腺上端を通
り,顎舌骨筋上面に入る。そして舌骨舌筋外面よりオトガイ舌筋外面に達し,分枝して舌筋をつらぬき,
舌の前2/3(舌体)の粘膜に分布する。ここで舌前2/3の知覚(舌神経),味覚(鼓索神経)を司る。

●口腔底を走行する脈管
臨床医として舌下部粘膜の一層下,すなわち“口腔底”の解剖学的構造をイメージできることは重要であ
る。口腔底とは文字通り口腔の床部分を指し,顎舌骨筋がその主体となる。その上部にはオトガイ舌骨筋,
下部には顎二腹筋前腹など機能的には少しずつ違った働きができる筋組織が存在し,口腔という空間で硬さ
や大きさの異なる食物の咀嚼に十分対応できる体制が整っている。しかし,これらの筋が十分に力を発揮す
るための空間が,時として血液や炎症性の産物を貯留する空間となってしまう場合がある。
顎舌骨筋は,口腔底を形成する板状の筋で,オトガイ舌骨筋と顎二腹筋前腹に挟まれている。下顎骨内面
の顎舌骨筋線より始まり,反対側からの筋に結合して終わる。後方の顎舌骨筋線より起こる筋束,すなわち
第三大臼歯部より起始する顎舌骨筋は反対側の筋に付かず,舌骨に停止する。顎舌骨筋を下方から観察する
と,口腔の床を構成し,その下方の空間(顎下隙,オトガイ下隙)と境していることが分かる。
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図6は未固定新鮮遺体に対し,舌を内側に牽引した状態で左側口腔底を観察(A)。口腔底粘膜の直下に
は舌下腺が観察される(B)。舌下腺および顎下腺管(ワルトン管)を除去した状態がCである。舌神経は
レトロモラーパッドに近接した部位を通過後,直接舌に進入する。舌骨舌筋内部を走行していた舌動脈から
分岐した舌下動脈は,舌下隙に分布後,下顎前歯部舌側歯肉下に達している。舌下動脈の走行および分布形
態にはきわめて多くのバリエーションが存在する。c.png

舌下部粘膜と顎舌骨筋で作られる空間を舌下隙と呼ぶ。前方から側方は下顎骨体部の内面,下方は顎舌骨
筋の舌骨付着部までとなる。この空間には舌下腺が存在し,舌下小丘・舌下ヒダよりやや粘性のある唾液を
分泌している。その舌下腺周囲,内部を舌神経,舌動脈の分枝である舌下動脈,舌静脈,ワルトン管(顎下
腺管)などが走行分布している。また,顎舌骨筋の下部の空間を顎下隙と呼び,顎下腺,顔面動脈の枝であ
るオトガイ下動脈,リンパ節などが存在する(図7)。

●上顎骨の基本構造
上顎骨はピラミッド形を呈し,内部に上顎洞を有する骨体部と,これより突出する前頭突起,頰骨突起,
口蓋突起,歯槽突起とから構成される。上顎骨は下顎骨と比較すると,外周の緻密質は薄
く,また内部を占める海綿質骨梁が少ないため,全体として骨壁は薄く脆弱な構造を呈する。そのため,上
顎骨は機械的な力に対し弱く,応力を表す縦弾性係数は下顎骨よりすべての部位において小さい値を示す。
また,海綿質骨梁はどの領域においてもほぼ均等に分布し,咬合力を隣接する周囲の骨に分散させている。
すなわち,上顎骨に負荷される咬合力は,前歯部では歯槽突起から前頭突起を経て前頭骨へ,臼歯部では歯
槽突起から頰骨突起を経て頰骨へと分散される。
上顎洞は上顎骨体と類似の形態を呈し,尖端が後方の頰骨突起側に向かった錐体形をなしており,一般に
第一小臼歯近心側から第三大臼歯遠心側まで広がっている。上顎洞底は上顎第一大臼歯,第二大臼歯付近で
最も下方へ下がるため上顎大臼歯の根端は上顎洞底ときわめて近接する。歯を喪失すると上顎洞を囲む骨壁
はさらに薄くなる。上顎骨の水平断面を上方から観察すると,骨体内部の上顎洞の広がりが明瞭にみられ
る。上顎骨後縁は蝶形骨翼状突起と接し,上顎洞の内壁は鼻腔の外壁を構成していることが理解できる(図8)。
上顎洞底には上顎骨体後面中央にある歯槽孔から入る後上歯槽動脈(顎動脈の枝)と後上歯槽枝(上顎神
経の枝)が通る溝または管がみられる。また,前壁には眼窩下管から前歯部に向かう前上歯槽動脈,前上歯
槽枝が通る血管・神経孔(前歯槽管)がみられる。また内部には隔壁が存在する(図9)。
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歯が植立する歯槽突起は,歯を喪失すると急速に吸収される。後方では,蝶形骨翼状突起と接する上顎結
節部が若干高く残るのみで,その他の部分は翼状突起の高さよりも低くなる。さらに,歯槽突起の吸収は全
体的に唇(頰)側から起こるため,無歯顎になると歯槽頂が舌側に移動することにより歯槽頂がつくる馬蹄
形は有歯顎に比べて小さくなる。結果的に水平的にみた無歯顎における上顎洞の広がりは,歯槽頂より外側
に位置するようになる。インプラント治療に際しては,この上顎骨の吸収の状態と上顎洞の位置に関する
十分な審査が必要である。

●上顎骨周囲を走行する神経,脈管
上顎骨臼歯部へのインプラントは,上顎結節部を利用し後方の翼状突起方向へ埋入する。ここでは後上歯
槽動脈の損傷と上顎神経の挫滅が偶発症として考えられる。
翼口蓋窩では,歯槽孔を通り上顎骨内に入り上顎大臼歯および上顎洞に分布する後上歯槽動脈が分岐す
る。後上歯槽動脈は,上顎洞外壁内面を後方から前方に走行することから,サイナスリフト(上顎洞底挙上
術)を行う際には注意が必要である。その他,歯槽孔より進入せず上顎骨に沿って走行するものには太い分
枝があり(図10),同部位が出血した際の止血は困難であるため,浸潤麻酔時,さらにインプラント体の埋
入時には十分な注意を要す。またそのすぐ後方には翼突静脈叢が位置する。
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眼窩下孔からは顎動脈の枝である眼窩下動脈が出る。眼窩下動脈は,眼窩下神経と伴行して眼窩下溝,
眼窩下管を前走し,眼窩下孔を通り顔面に出て鼻根部,鼻背部に分布する。眼窩下管の通過時には,前上
歯槽動脈が前外下方に分岐し,上顎前歯,小臼歯およびその歯肉に分布するものと後上歯槽動脈の枝と吻合
し複雑な動脈網を形成するものがある。また,口蓋に向かい大口蓋動脈,小口蓋動脈に分かれる下行口蓋動
脈,鼻腔に達する蝶口蓋動脈を分岐する。蝶口蓋動脈は,鼻腔内で広く分布した後,切歯管を下走し,口腔
内の口蓋粘膜を栄養している大口蓋動脈と合す。切歯管を通る動脈は比較的太く,切歯管の破壊による血管
損傷によって多量の出血が考えられる。

上述したように,下顎骨および上顎骨は歯が喪失することによって外部の形態と共に内部構造にも大きな
変化が生じる。そして最も重要なことは,それに関連付けて顎骨内部,顎骨周囲を走行する神経,血管につ
いて考えなければならないということである。
今回解説した上顎骨に走行する後上歯槽動脈を例にとっても,FH 平面からの血管までの距離は変わらな
いものの,歯槽頂部,上顎洞底線までの距離は大きく変化する。すなわち口腔内から血管網への距離は非常
に近くなっているのである。
インプラント施術に際しては,今回解説を行った解剖学的事項を念頭に置いて,種々の診査を行った上で
慎重に処置を施すことが適切な処置,すなわち偶発症の防止へとつながる。さらにはインプラント治療など
の歯科医療が,国民のアンチエイジングにつながるということを確かな evidence を持って啓発することが
重要であると考える。

 

 


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