⑥成長、加齢変化
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⑥成長、加齢変化

2018年04月20日(金)8:18 PM

●人の顔は変化する

人の顔は、成人では不変であるかのように見えます。しかしゆっくりとですが、顔は加齢によって変化します。

こちらは加齢変化を早回しした動画です。顔がいかに変化に富んでいるかが分かります。


・胎児から新生児まで
発生の章にて後述しますが、発生では進化と同様の過程を辿ります。
妊娠1ヶ月は、胎芽とよばれる時期でタツノオトシゴのような形でエラや尾が見られます。
妊娠3週ころより消化器や循環器などの分化が開始し、身長は約0.4㎝となります。
妊娠2ヶ月に尾やエラは消失し、2頭身となりヒトらしい形になります。

※ここでいう「エラ」とは、俗称でいう下顎角部のことではなく、魚類の呼吸器官のエラのことです(「腮」「鰓」)。正確には「腮弓」と呼び、ヒトも胎児ではこの進化の過程を辿ります。

腮弓は第1~第6がありますが、重要なのは第1腮弓(顎骨弓)で、上下顎骨や咀嚼筋、三叉神経へと分化します。
発生を知ることは解剖を理解する上で有用で、なぜ顎骨周囲に咀嚼筋があるのか、それらが三叉神経支配なのかを説明してくれます。
心臓や脳といった概念がなかった時代には、「腮」が精神や生命の主座だと考えられていたため、この漢字が当てられています。
第1腮弓が下顎骨へと発達していくことを考えると、俗称の「エラ(角部)」も、あながち的外れとも言えません。

妊娠7週にかけて眼、耳、口が発生し、頭と胴の区別が明瞭となります(3㎝)。

妊娠8週以降は胎児とよばれるようになり、顔や内臓器官が発達し、ヒトらしい姿になり、外陰部で両性の区別が可能となります(身長は約9㎝)。

妊娠4ヶ月で胎児の頭はビンポン玉大となり、皮下脂肪がつき、ふっくらとしてきます。
皮膚には産毛が生え、皮膚は赤色を増し、しだいに不透明になってきます。表情筋が発達し、外界の刺激に対して表情を示します。


脳や眼球は生まれた時から大きく、成長を通じてあまり変化しません。
小児では相対的に顎骨がとても小さく、左右に潰れた球形をしています。

上下顎骨が延長して(特に上下方向)、歯が生え替わりながらその容器(歯槽骨、下顎骨)も拡大します。
顔が丸→縦長に、球形からオトガイとエラが突出した形に変化して行きます。

2つの「顔の二等辺三角形」を見ると成長の変化を観察しやすいです。
①左右の目尻と口唇の中心を結ぶ三角
→中顔面、上顎骨の発達を反映しています。
②左右のエラ(角部)とオトガイを結ぶ三角
→下顔面、下顎骨の発達を反映しています。

どちらも三角を小さく表現することで、子供らしい顔、ベビーフェイスの顔を描くことができます。
成長とともにこれらの三角形は縦に伸長していきます。

女性の思春期は小学校高学年から始まり、乳房が膨らみ始め、成長ホルモンの分泌が活発になるため、身長の伸びが著しくなります。
男子も後を追って思春期に入り、身長が伸び始めます。小学生の頃は、女性の方が身長が高いのに対し、中学生になって逆転していきます。


●顎骨の発達
小児の顎顔面は、そのまま拡大コピーのようにして成人のものになる訳ではありません。乳歯の歯列からから、より数が多く頑丈な永久歯の歯列へ、徐々に生え替わりつつ延長していきます。

3~12才にかけて下顎骨は、第2、第3大臼歯(C7、C8)が萌出するスペースを確保するために、下顎の角部が側方、後方へ延長して発達していきます。前歯部はほとんど変化はありませんが、骨表面の吸収と添加により、大人らしいゴツゴツした表面になります。


●目鼻の成長
小児の顔の表面は十分な皮下脂肪と軟らかい皮膚に覆われてプニプニといています。
比較的、大きい眼球は厚ぼったい瞼に覆われ、二重の折れ込みの抵抗となるため、むくんだように
一重になりやすいか、厚ぼったい二重になります。

※二重とは
二重とは上眼瞼が開瞼するときに生じる「折れ目」あるいは「食い込み」です。
眼を開ける筋肉である「挙筋」は上眼瞼の最深の層(裏の結膜側)にあり、これが収縮することで瞼が引き上げられます。この筋肉は分岐して緩く上眼瞼の皮膚とも連結しており、開瞼するときに同時に皮膚も引き込まれてそこに「折れ目」「食い込み」が生じますが、これが「二重(重瞼線)」です。
閉眼時には二重は出来ませんが、開瞼すると表面が挙筋とともに奥に引き込まれて二重ができます。

瞼が厚ぼったい人や連結の繊維が緩い人では、二重は出来ません。これは遺伝によるもので(優性遺伝に近いと言われます)、アジア人ではこの「二重」遺伝子を持つ人が少ない、あるいは弱いです。
しかし二重は単なる「折れ目」と理解すれば、遺伝が全てではないことが分かります。
つまり以下の3要素のバランスによります。
①源動力となる挙筋の力
②それを皮膚に伝える繊維の強さ
③折れ目ができる上瞼(皮膚)の抵抗(厚ぼったさ)

例えば60代以降の多くは眠そうな目をしていますが、これは「眼瞼下垂」と呼ばれる加齢変化です。
①の筋力が弱まったり②の連結繊維が伸びてしまっている状態です。
厚ぼったい瞼の人がアイプチが取れやすいのは、②の繊維が弱いことと、③の皮膚の抵抗が大きいためです。
アイプチかぶれで皮膚抵抗が強まると、二重が出来にくくなります。
逆に皮膚や皮下組織が薄い人は③の抵抗が小さいので、三重になったり、付けまつ毛をしただけで容易に二重になります。
※二重の遺伝子の強い人が有利ですが、幅が狭かったり、ラインが不安定だったり、タルミを感じたりと、ほぼすべての女性が自分の二重に不満を感じています。
 大半の女性が、メイクの延長として二重手術を利用しています。

加齢とともに皮下組織は萎縮して内圧や弾力を失い、繊維構造は伸びていきます。表面の皮膚も薄く伸びてタルミを生じて皮膚の抵抗が小さくなるため、40代頃に、一重の人が二重がになることはあり得ます。しかし繊維(腱膜)も伸びるため、眼瞼下垂が進んで「食い込み」の力が弱くなると、
二重はできにくくなります。眼瞼下垂では瞼の開きが小さく、二重幅は広く、上眼瞼に窪みができたり、眉毛を上げて額にシワができます。
これは挙筋での開きの弱さを、眉を上げる筋肉(前頭筋)が補助しているかたです。切開しての眼瞼下垂の手術が必要です。
逆に二重幅が狭くなっている人は「タルミ(つまり皮膚の下垂)」であって、「眼瞼の下垂」ではありません。表面の皮だけが伸びて下垂して見えますが、内部構造は健在で下垂していないということです。
切開法の二重術にて、皮膚を切除します(眼瞼下垂とほぼ同様の術式)。


また幼児では外鼻は低く凹凸のない顔面をしていますが、5~6才頃から外鼻が隆起してきて、「鼻スジ」を形成します。


 ※「鼻」とは本来、嗅いを感じる感覚器であり、その本体は鼻腔粘膜の天井部分にある嗅細胞です。これが頭蓋骨の床を貫いて、嗅神経へと信号を伝えます。
我々が「鼻」として認識したり、高い低いを論じたりする場合、それは「外鼻」のことを指します。
外鼻とは中顔面から骨・軟骨の支柱によって突き出した、皮膚と粘膜からなるトンネルの出口に過ぎません。
5~6才に骨・軟骨が伸長して外鼻が隆起し、目と額の凹凸だけだった顔面に、新たな凹凸を加えます。
これが鼻スジ(鼻背)です。外鼻の隆起は左右の皮膚を引き寄せる効果が多少あります。これに加えて眼瞼の厚みが取れてくるため、目頭側の眼球の露出が増して、少し切れ長に見えます。
眼球を覆う瞼が薄くなり、その窓の大きさ(瞼裂)が拡大することで、目元はより大きくスッキリとしてきます。


 ※鼻根が高くなり、目頭が中央(正中)へ引かれるとは言っても、それは1mm程度の移動に過ぎず、「末広型」の二重が「平行型」になるためには不十分です。
 「目頭切開」の手術によって、3mm程度の皮膚の移動ないしは切除によって修正します。

小児から成人にかけて、顔の皮下脂肪が薄すなると同時に、輪郭の骨格が発達していくため、よりシャープな凹凸を持った大人らしい顔つきへと変化します。
骨格と皮膚の関係は、テントと支柱で例えると分かりやすいです。テントはステンレスの支柱(骨・軟骨)を延長して天井の高さを調節します。これに生地(皮膚)を覆い被せて、外観が完成します。
生地が「断熱素材入り」の分厚い場合をイメージすると、これが皮下脂肪ということになります。

小児の顔はふっくら丸々としています。10代になると顎骨(支柱)が延長すると同時に、皮下脂肪が薄くなり、メリハリの利いた凹凸のある顔になります。

顔の変化は定点を決めて観察すると良いでしょう。2つの「顔の三角形」が縦に延長して行きます。 ①上顎骨の三角(両目尻と口唇の中点) ②下顎骨の三角(両下顎角部とオトガイ)


10代の女性は「顔がパンパンで嫌です」と言います。10代の後半には骨格の伸長は止まりますが、その後も軟部組織(骨以外の皮膚、皮下組織)の変化(老化)は進みます。
皮下脂肪が薄くなり、皮膚の弾力が乏しくなる(テントの生地が薄くなる)と、骨格の輪郭が外観に反映されやすくなり、スッキリとシャープな印象になっていきます。
20代は輪郭の成長と軟部組織の厚みが最も理想的な状態であり、スッキリしてメリハリのある顔面をしています。顔面を「風船」に例えると、表面のゴムに弾力があり、内部の空気もつまっている状態です。

30代になると軟部組織が薄くなり、伸びていきます。風船でいうとゴムが少し伸びて、中の空気がすこし抜けた状態です。
加齢変化の始まりであり、よりスッキリとほっそりとして成熟した顔立ちとなります。しかし同時に「タルミ」のごく初期段階として、ゴルゴ線、ほうれい線、口角のシワ(マリオネットライン)の3本が現れてきます。
※ゴルゴ線とは漫画のキャラクター「ゴルゴ13」にちなんだ俗称です。「ミッドチークライン(眼頬溝)」とも呼ばれ、より内側の凹凸については「目の下のタルミ」と表現されます。


 40代になると、更に表面のゴム(皮膚)が伸びて、内部はしぼみます。「しぼみ感」「タルミ感」とは、しぼむ風船の例えのように、内部の容積(圧力)と表面の張力(硬さ)のバランスによるものです。
ゴルゴ線、ほうれい線、口角のシワ部分では、「線の内側」が痩せてくぼみ、陰影をつくりやすくなります。また「線の外側」は伸びて動きやすくなった皮膚が、重力によって下垂することでタルミ感を与えます。
これらの線においては、表情をつけた時に目立ったり、ファンデーションがスジに入り込んだりします。
※当サイトでのポイントは、顔面や老化を「平面」ではなく「立体」で観察することです。3本の加齢線は、似顔絵で描くような「線」ではありません。内側の「凹み」と外側の「タルミ」からなる凹凸であることを理解してください。


ここで先述の内容を繰り返します。
昼間に明るい照明の下でご自分の顔を観察してください。全方向からの十分な照明のもとでは陰影(コントラスト)が弱いため、ほうれい線などのシワが浅く見えます。
次に洗面台など、上からの暗い照明の下で観察してください。上からの照明では、わずかなタルミの凹凸による影が濃く表現されます。このため体感的には5歳ほど若返ってみえます。
ちなみに重力も照明と同様に重要な要素(パラメーター)です。手鏡を少し離して持ち、鏡を見たまま顔を天井方向へ向けて上げていきましょう(手鏡も一緒に移動します)。
すると5歳ほど若がえって見えることが分かりますか。これは照明効果と重力効果の2つによる変化です。天井を向くことで照明が顔の正面から当たります(照明効果)。
同時に顔面が重力に垂直となることで、重力の効果が打ち消されて、タルミによる下垂がなくなります(重力効果)。

60代になると3本の線は深く刻まれて固定します。タルミが大きくなると、皮膚の重力による移動量(下垂)が大きくなり、フェイスラインは骨格のラインから乖離して、「Uの字」のラインになります。
70代になると歯が抜けたり歯槽骨が委縮したりして、口元は落ちくぼんでいきます。皮膚のタルミによって顔は「スクエア型」になります。


それでは以上の点に注意して、以下の加齢動画を観察してください。

●老化変化 Danielle


●身体の加齢変化
乳房・腹部のタルミ(下垂)は産後の体型変化で、代表的なものです。 40代以降になると顔・乳房・腹部で皮膚のタルミが目立ち始め、出産によってさらにタルミが進行します。.
タルミの原理は、「伸びた水風船」と同じです。皮膚と皮下組織は、「ゴム」のように薄く伸びて、重力にままに下垂し、タルミとして見えます。 またその下のお肉(皮下脂肪や乳腺など)は「風船の中の水」に相当します。 加齢によってお肉が痩せて、水の容量が減れば、伸びた風船がしぼんで、タルミはより強調されます。
 

よって、タルミ治療には以下の2つがあります。.
①「ゴムを切って縫って引き締める」 (切開法).
②「中に水を注入して、膨らませて、しぼみ感を解消する」(非切開法、注入法)

※袋状の脂肪は変化せずに残ります。部分的にタルミの下縁にある脂肪は、かえってタルミを強調するため、部分的に突出した脂肪は除去します。一方で全体に対しては、広範囲に注入して膨らませることで、ハリを出します。.

(タルミ取りの効果).
タルミ取りの効果は皮膚の切除面積に比例しますが、これは傷の長さに比例します。小さい傷では、効果が不十分となります。手術によって傷のデザインは決まっています。診察時(あるいは術中)に判断しますので、医師に従ってください。 具体的に 乳房、腹部、顔面、目の下 にある「水風船」が伸びてしぼんで、加齢とともにタルミが進行する様子をイメージしてください(40代から進行します)。.

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・乳房のタルミ →マストペクシー、乳房吊上げ術 乳房の下縁と乳輪を切って、皮膚と脂肪と乳腺の下1/3を切除して縫合します。.

※脂肪注入やバッグ豊胸によって、しぼみ感を解消することは可能ですが、タルミ(下垂)の改善は軽度です。「伸びた風船」の中に水を入れて大きくしても、下に垂れさがる感じの改善は軽度なことが分かるでしょう。.

※乳輪縮小やF to M の乳腺切除を希望の場合にも、乳房のタルミがある場合には、この手術が適応となります。.

・腹部のタルミ →腹部のタルミ取り(切開法) 右側腹部から左側腹部にかけて切って、余分な皮膚と皮下脂肪を切除して縫い縮めます。.

※非切開法である脂肪吸引では、皮膚のタルミはあまり改善しません.

・フェイスラインのタルミ →フェイスリフト 耳の前で切って、皮膚とその下のSMASを切除して吊り上げます。 ※口角の凹みに対し、注入(ヒアル・脂肪)して調整します。



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