症例6 エラ削り他院修正例(オトガイ削り後、下顎角~下顎全体削り)
2018年03月21日(水)8:12 PM
他院オトガイ削り後、下顎下縁の中間点、オトガイアプローチにて削れるところまで削っているため、オトガイ神経の牽引制限から、エラ側(下顎角部)に削り残しによると思われる突出を触れる。
ここを削ると同時に下顎角部の削りを希望された。
reope 37才 男性

●アセスメント
エラ側(下顎角部)に削り残しによると思われる突出(骨切りラインの切り替え点)を触れる。
オトガイ側、エラ側からの2方向からのアプローチにて、下顎全体削りとして、希望ラインへ達するまで切削の方針とする。
●術中所見
口腔内の陳旧創を利用して頬粘膜を切開。癒着にて進むべき剥離面が硬いが、その硬さにそって、またカニューレを通穿して層同定の補助とした(同時にhydrodissection)。
骨面を鋏の先端に触れ、そこを足掛かりに開鋏して骨膜を展開し、剥離子にて拡大していく。
骨膜下に入ると、比較的、癒着は疎となった。下顎骨を下縁まで剥離し、展開により角部の繊維性癒着を明らかにし、バイポーラーにて鋭的に切離していく

●麻酔記録
①患者情報
身長 167 cm、体重 57kg 男性
基礎疾患 前立腺肥大→内服加療中
15年前に水頭症に対し、PVシャント作成されている。
※左耳介後部の皮下にポートを触れる~胸鎖乳突筋の後方皮下にチューブを触れる
→なるべく加圧しないよう、注意する。血圧管理に留意する。
血圧 145/80
術式 エラ削り(下顎角骨切り)修正術
ASA(全身リスク) : 1
せん妄リスク因子:せん妄誘発薬の使用は特になし
PONVリスク:非喫煙因子あり
②麻酔法 全身麻酔、経鼻挿管
Mallanpati score 2
③導入 10:20
プロポフォール 120mg
エスラックス 50mg
ドロレプタン 1.0cc
セファゾリン 1000mg×2
径6.0mmノースポーラーチューブにて左鼻腔からアプローチ。下鼻甲介を抵抗なく通過した。
ブレード4にて喉頭展開。喉が長く、ブレード先をepigloにかけて挙上、あわせて介助が甲状切痕を押して近づけるも
声門は部分的に露出した。半盲目的にepiglo側の喉頭前壁に沿って挿管した。呼吸音聴診と胸郭挙上にて異常なく、深度は23cmにて固定。
チューブ頭頂部固定
GOS(吸入麻酔sevoflurane)にてsevo2.0%とした。
挿管刺激での昇圧は思ったほどでもなく、スムーズに機械換気に乗った。
胃管(18Fr)挿入65cm固定、尿管を留置した。
④術中vital管理
1回換気量 540cc
sevoflurane 1.8~2.2%
ネオシネジン 0.1mg×4
エスラックス +1.0mg
アドナ 1A
sevo2.2%にてsBPが90を下回ることがあり、sevo1.8%まで浅くした。
以降、sBPは90台にて安定。
⑤抜管 15:40
IN(輸液): 2000cc
OUT(尿量): 600cc
手術時間: 4:50
出血量: 60cc
術後鎮痛として、抜管前に
アセリオ 1000mg
ボルタレン坐薬 50mg
⑥術後管理
覚醒時の血圧上昇に対し、ペルジピン0.2mgivなどで適宜、血圧コントロールを厳とした。
Aldred score9
覚醒 15分
PONV(嘔気)が強く、全身倦怠感の訴えも強い
プリンペラン1A、ドロレプタン0.5ml
16:30 飲水 →嘔吐あり
18:00 トイレ歩行
20:00 嘔気おちつき、独歩可能。
(追加処方)
疼痛に対し ロキソプロフェン60mg
不眠に対しマイスリー 5mg
術後血圧 110/80
入院: 1泊
大塚外泊:1泊
・翌日 安全確認
activeな口腔内出血(-)、内出血(+-)、腫脹(中顔面~口唇)(++)
疼痛(+)→ ボルタレン坐剤 追加処方
vitalは安定している。
テープ固定と圧迫を交換して退院となった。タクシーにて帰宅。
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