自己手術
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自己手術

2018年10月25日(木)6:53 PM

世界仰天ニュースのようなお話ですが、自分で自分に手術をする人がまれにいます。これを自己手術といいます。
「扇風機おばさん」という人が有名でしたが、年に1人くらいはお見かけします。
「そんなことして痛くないの?」「普通の神経では考えられない」などの疑問をお持ちでしょうが、多くの方はうつ病など、精神的に不安定なときに自己手術を行うケースが多いです。

麻酔とメスと針糸を準備して、動画や手術書で予習をして、「準備万端にいざ手術」となるのですが、初めての経験なので、途中で手が止まってしまうようです。
ためらい創のようになるケースが多く、その創痕修正と、希望だった手術を依頼するためにクリニックを受診します。


●原因
うつ病
過度なストレス(浮気、離婚、病気)→ 自己否定感(自分なんて生きていても仕方ない) →自殺行為、自傷行為
コンプレックスの過激な解消法
外科に馴染みがあって、心理的な抵抗が低い(病院関係者、調理人、軍人など)
手術費用が支払えないため、自分で手術する
自己手術のノウハウを得る
医療関係の友人に頼む

 


●自己手術の例


顔・身体のタルミ取り
包茎手術
指名手配犯が逃亡中に行う「逃亡整形」  ※税関をパスするため
脂肪吸引
ヒアルロン酸、ボトックス


●自己手術の経過

皮膚切開までで中止するケースが多いです。縫合は上手にできており、創は以外にキレイなケースが多いです。
まれに感染や血腫を合併して、醜形を残すケースもあります。
※専門知識がない場合、解剖学、消毒、術後ケア(圧迫)や投薬(抗生剤)の知識が欠けていることが多いです。

 



●医師の行う自己施術

医師は高度な専門家であるため、脂肪吸引などの軽度の手術なら自己手術が可能な人がおります。
私自身は、下記の自己手術(処置)は経験があります。医師の場合は美容目的というよりは、商品の効能の確認の目的が主となります。

・脚のアートメイクをしてからその除去術(タトュー)除去   
※色味の調合と電気メスの選定の確認のため
・新製品のヒアルロン酸、ボトックスに対して、自己注射にて持続性を比較
・ホクロ除去
・怪我による切開創のデブリおよび縫合
・巻き爪の手術

手術では「目」と「手」を使用しますので、目と手が届く範囲であることが、自己手術の最低条件となります。鏡越しでは視覚が十分に発揮できません。また両手を使うため、上半身や背部では両手を十分に発揮できません。
また美容外科では自家麻酔(術者が麻酔科を兼任する)で行いますので、眠る麻酔のような意識がなくなる麻酔でも不可能です。自己手術では、局部麻酔で可能な手術であることが条件です。

 



●自己手術は合法であるか?
自己手術は、法的には「自傷行為」と呼ばれ、リストカットやピアスと同様に違法ではありません(もちろん倫理的には問題があります。)。
他者の身体を傷つける場合には、「傷害罪」あるいはその幇助に問われます。医師免許を持つ場合には、これが免責となります。


●果たして一般人に手術は可能か?

上記の「手」と「目」に関する能力を、外科医は10年ほどのトレーニングを経て獲得しています。

例えば初めて車を運転する人は、ハンドル操作を失敗することが多いでしょう。例えば初めて料理する人は塩加減を失敗することが多いでしょう。けれども母親の運転や料理を毎日、横で見ていて心得がある人は、少しだけ上手かも知れません。一般人の手術とはこれと同様に、心得がある人は少しだけ上手かも知れません。

※なぜ手術が遂行できないか、なぜ未遂で終わるのかは、「目」と「手」のトレーニングの問題とともに、様々な「躊躇」があります。自信がなかったり、手順が分からなくなったり、止血ができなかったりという躊躇です。
 そのためリストカットのように、自己手術は「ためらい傷」にて未遂で終わることが多いです。
 逆に逃亡目的の自己手術(逃亡整形)などは躊躇がありませんから、出来、不出来は問いませんが、自己手術を完遂することが多いです。



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