A詳細(R-B)
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A詳細(R-B)

2018年05月01日(火)7:34 PM

●外頚動脈(Arteria carotis externa)

外頚動脈は顔面および頭蓋壁に分布します。成人ではだいたい同じ太さです。外頚動脈は甲状軟骨の上縁で総頚動脈から分れ下顎頚の高さに達し,そこで2本の終枝である浅側頭動脈A. temporalis superficialisと
顎動脈A. maxillarisとに分れ、上方に向う間に多くの枝を出すのでその直径は著しく細くなります。

外頚動脈は以下の枝を出します。起始の順序に上げます。
上甲状腺動脈A、上行咽頭動脈A.、舌動脈A. (lingualis)顔面動脈A. (facialis)、後頭動脈A.、後耳介動脈A. 、顎動脈A. (maxillaris)、浅側頭動脈A. (temporalis superficialis)


・局所解剖
起始の近くでは外頚動脈は発生の過程にもとづいて内頚動脈より内側にありますが,すぐに表面に近づき同時に外側に向かって,下顎後部に至ります。

その起始部はたいてい胸鎖乳突筋の前縁に被われていますが、すぐそこから内側に出て,頚動脈三角にいたり,そこで中頚筋膜と広頚筋によって被われます.
さらに上方では茎突舌骨筋と顎二腹筋の後腹がその外方に重なり,つづいてこの動脈は耳下腺の下顎後突起に入ります.耳下腺の実質の一部が外頚動脈を下顎枝からわけへだてています.
外頚動脈と内頚動脈のあいだには茎状突起と茎突咽頭筋および茎突舌筋があります.

顎二腹筋のすくそばで,舌骨の上を弓状をなして走る舌下神経が外頚動脈の外側を通り,これと交叉します.同じようにして外頚動脈の上端の近くでは,顔面神経が耳下腺の中でこれと交叉しています.
茎突咽頭筋に伴って走る舌咽神経は外頚動脈と内頚動脈のあいだにあります.上喉頭神経は内外の頚動脈の後方にあります.

頭部表層に分布する動脈の神経は交感神経,三叉神経,顔面神経,大後頭神経,大耳介神経に由来します.

※変異:起始の変異については多数の枝がときどき起始の近く,あるいはもっと上方の1ヶ所で一緒に出ていることがあり,または幹の全長にわたって等しい間隔に分れていることがあります.
枝の起始がほかの動脈に移っていたり,若干の枝が集まって短い共通の幹をもっていたりすることによって、枝の数が普通より少ないことがあります.
また枝の数が増していることもあります.たとえば普通だと枝からさらに分れでいくものがすでに幹から直接に出ていたり,ほかの幹から出るはずの血管が外頚動脈から出ている場合があります.
ごくまれに外頚動脈の位置が顎二腹筋と茎突舌骨筋の外側になっていることもあります。


●外頚動脈の枝を次のように分類します。
①前方のもの:上甲状腺動脈,舌動脈,顔面動脈
②後方のもの:胸鎖乳突筋動脈,後頭動脈,後耳介動脈
③内側のもの:上行咽頭動脈
④終枝:浅側頭動脈,顎動脈.


●舌動脈Arteria Iingualis 
舌動脈はその起始から上内側に曲り,舌骨の上方にいたり,大角の先端の後方で舌骨舌筋に被われて舌に入ります.強い迂曲をなしつつオトガイ舌骨筋と舌骨舌筋のあいだを通って舌尖に向かいます.
その枝を次にあげます.
・舌骨枝
舌骨の上縁にそって走り付近の軟部を養い反対側の枝と吻合します.
・舌下動脈A.
舌骨舌筋の前縁において起り,顎舌骨筋と舌下腺のあいだを前方にすすみます.この動脈は舌下腺と付近の筋ならびに口腔の粘膜と歯肉を養います.
・舌背枝 
急な角度で上って,舌背の後部にいたり,そこで枝分れして喉頭蓋にまで達します.両側の舌背枝はしばしばたがいに合して舌盲孔に向かって走る小幹をなしています.
・舌深動脈A.
大きさおよびその走向からして舌動脈の幹の続きです,舌の下面の近くでオトガイ舌骨筋の外側に接してうねりながら前方にすすみ,そのさい多くの側枝を出し,ついで舌小帯に密接します.左と右の舌深動脈の枝は吻合しません.

※変異:舌動脈の起始部がしばしば顔面動脈または上甲状腺動脈とともに1本の共同の幹をなしています.いっそうまれにはこの3本の動脈がみなで1本の幹をもっていることがあります.舌下動脈の太さは非常にまちまちです.
ときとして顔面動脈から出て顎舌骨筋を貫いています.他の動脈から出るべき枝,たとえばオトガイ下動脈,上行口蓋動脈がしばしば舌動脈から出ていることもあります.


●顔面動脈A. facialis

顔面動脈は舌動脈の上方で外頚動脈から出て,舌動脈と同じようにまず茎突舌骨筋および顎二腹筋の後腹の内側を顎下腺の下まで走り,この腺で被われますが,そこでは下顎体の内側にあります.
ついで咬筋付着部の前で下顎の下縁を曲がって顔面に出て口角にいたります.そこから鼻の側面をへて内眼角の近くに達し,眼動脈の鼻背動脈と吻合して終わります.

・局所解剖
この動脈はその経過の全体にわたって非常にうねっていますが,これは分布している部分が非常によく動きうることにもとづいている.咬筋の前縁でたやすく探しだせるし,また下顎骨にむかって圧迫しえます.
まっすぐに走っている顔面静脈は顔面動脈と咬筋の前縁との間にあります.顔面神経の枝は顔面動脈と交わり,眼窩下神経の一部ほこの動脈の後を走っています.

顔面動脈には「頚枝」と「顔面枝」とがあります

A. 顔面動脈の「頚枝」
・上行口蓋動脈A.
これは咽頭の側壁を(茎突舌筋と茎突咽頭筋の間で)ほとんど垂直に口蓋帆に向かって上り,口蓋帆のほかに扁桃茎状突起の筋群,耳管に分枝します.この動脈の代りをしばしば上行咽頭動脈の枝がなしています.
・扁桃枝
小さな枝で咽頭の側方を上方にすすみ、頭咽頭筋を貫き多数の枝に分れて口蓋扁桃と舌根の外側部に終わります.
・腺枝
 幹が顎下腺のそばを走る間に出て,この腺とその附近のリンパ節にいたる多数の小枝です.
・オトガイ下動脈
これは顔面動脈の頚枝として最も太いものです,顎舌骨筋の下面を前方にすすんでオトガイにいたるもので,顎下腺と付近の筋に枝をあたえ,そこでそれぞれ1本の浅枝と深枝に分れます.

浅枝は願の前面で筋の上を通って下唇にいたり,深枝は筋と骨とのあいだの深部で枝分れします.

B. 顔面動脈の「顔面枝」

・下唇動脈と上唇動脈A
この両者は口輪筋の内方にあります.下唇動脈は下顎骨の下縁の上方,または口角の近くで起り,下唇の筋や皮膚の中をうねって通り,反対側の同じ動脈と吻合し,
またオトガイ下動脈および下歯槽動脈(顎動脈の枝)の終枝の1つとも吻合します.

上唇動脈はいっそう太くて,またより強くうねっており,上唇の実質中にひろがって,反対側の動脈とつながります.上唇動脈と下唇動脈が1本の共通の小幹をもって起ることがまれではありません.
上唇動脈は上唇にいたる多数の枝のほかに鼻とその付近にも分布し,また上唇に終る諸筋に若干の枝をあたえます.この枝は眼窩下動脈,顔面横動脈,頬動脈につながります.

・眼角動脈A. 
眼角動脈は顔面動脈の終枝で鼻の側壁に沿って上方に走り,多数の枝をもって鼻翼と鼻背を養ります.これは眼動脈の鼻背動脈につながっています.

※変異:顔面動脈と舌動脈はまれならず共通の短い1本の幹をもって起こっています.ときどき顔面動脈が高い所で出て,ついで下方に曲がって下顎にいたることもあります.
顔面動脈は太さとその分布に著しい変動があります.まれにこれがオトガイ下動脈として終り顔面に達しないことがあります.時には上唇まで達して終わります.
顔面動脈の分布区域が少いときには、その代りによく発達した眼動脈の枝が顔面にまで広がり,または顔面横動脈の枝が補っています.扁桃枝が独立した枝としては欠けていることがまれではりません.
しばしばオトガイ下動脈が舌動耳辰から出ていたり,顔面動脈が舌下動脈を出したりしています.



●後頭動脈Arteria occipitalis

後頭動脈は外頚動脈の後側から,普通は顔面動脈と向きあった所で出て,顎二腹筋の後腹に被われて上方にすすみ,環椎の肋横突起の上にいたり,外側頭直筋と顎二腹筋の間で側頭骨の後頭動脈溝の中を後方に向かいます.
そのさい胸鎖乳突筋と板状筋および頭最長筋に被われています.それからふたたび方向を変えて板状筋の内側縁で僧帽筋の停止を貫き,後頭部の皮膚に密接しつつ頭頂に向かってすすみ,
多数の枝を出して後耳介動脈,浅側頭動脈の枝および他側の後頭動脈の枝と吻合します.

顎二腹筋の後腹・茎突舌骨筋・板状筋・頭最長筋・胸鎖乳突筋に多くの枝を出すほかに次の枝を送り出しています.

・乳突枝
これは乳突孔を通って後頭蓋窩の硬膜に分布します.
・耳介枝
耳介の後面にいたる.
・筋枝
項筋にいたり椎骨動脈と深頚動脈の枝とつながります.特に太い1本の枝が頭板状筋と横突後頭筋の間を走ります(下行枝).
・硬膜枝
この動脈の1終枝が出している細い枝であって,頭頂骨の頭頂孔を通って脳硬膜に達します.


※変異:後頭動脈はときとして内頚動脈から出ることがあり,また鎖骨下動脈の甲状頚動脈から出ることもあります.
またいっそう浅いところを通り,頭最長筋の外側,あるいは胸鎖乳突筋の外側をさえ走ることが少くありません.
後の場合には小さい枝が正常の位置にあることが多いです.多くの例で環椎の肋横突起の下を走ります.
後耳介動脈,上行咽頭動脈,茎乳突孔動脈が後頭動脈の枝をなすことが多く,しかも上行咽頭動脈が出ている場合はヨーロッパ人で14%,日本人で23%です.


●後耳介動脈

これは小さい動脈で,後頭動脈のやや上方で外頚動脈から出ます.耳下腺に被われて茎状突起の上に接して上行し,ついで乳様突起の前で耳介の後において頭頂に向かっています.
乳様突起のやや上方で前と後の終枝に分れます.後耳介動脈の枝としては顎二腹筋の後腹,茎突舌骨筋,茎突舌筋,胸鎖乳突筋,咬筋,内側翼突筋にいたる数多くの筋枝,および耳下腺にいたる枝のほかになお次のものがあります.

・茎乳突孔動脈
これは細い動脈であって,茎乳突孔を通って顔面神経管に入り,その中をずっと走って,1本の枝すなわち,アブミ骨筋枝R. stapediusをアブミ骨筋に与えた後,顔面神経管裂孔で硬膜に達します.
また1本の側枝,後鼓室枝は鼓索神経と共に鼓索神経小管を通って鼓室に入り,鼓室に分枝しますが,また乳突枝を乳突蜂巣にあたえています.
そのさい顎動脈からの枝で錐体鼓室裂を通って鼓室にくる前鼓室動脈とつながっています.

・耳介枝
これは耳介の後面およびその縁に枝を送り,また穿通枝を耳介の前面に出しています.また小枝が外耳の小さい諸筋に達しています.

・後頭枝
これは側頭骨の乳突部を越えて後方にすすみ,後頭動脈の枝と吻合します.

※変異
しばしばこの動脈が弱く発達していることがあり,また茎乳突孔動脈をもって終わってしまうこども少くありません.時としてこれが後頭動脈でおき代えられています.
後頭動脈が後耳介動脈の少数の枝を出していることがしばしばあり、後頭動脈と後耳介動脈が短い1本の共通な幹をもって出ていることもあります。


●浅側頭動脈 Arteria temporalis superficialis

この動脈は外頚動脈の浅層における終枝であって,下顎枝の頚のところで外頚動脈から発し外頚動脈と同じ方向をとって上方にすすみます.耳下腺の実質に囲まれてまず外耳道と下顎小頭の間を通り,
ついで頬骨弓の根を越えて上行し,ついで側頭筋膜の表面にいたります.頬骨弓より数cm上方でほとんど直角をなしてたがいに離れてゆく2本の終枝,前頭枝と頭頂枝とがあります.
浅側頭動脈の枝には次のものがあります.

・耳下腺枝  
耳下腺にいたります.
・顔面横動脈
この動脈は初め耳下腺で被われ頬骨弓と耳下腺管の間で咬筋の上を越えて,ほとんど水平に走り,そのさい顔面神経の2本の枝に伴われています.顔面横動脈は耳下腺と顔面筋に枝をあたえ,その先きは3本ないし4本の枝に分れます.
・耳介前枝
耳介の前面と耳介筋および外耳道に分布しています.
・頬骨眼窩動脈
側頭筋膜の上を越えて外眼角にいたり眼輪筋に分枝します.
・中側頭動脈
頬骨弓のすぐ上方で側頭筋膜を貫いて,側頭鱗の表面にある中側頭動脈溝にいたり,側頭筋を養います.

・前頭枝
2本の終枝のうち前方に向うもので,側頭筋膜の上で弧を画いて前方にすすみ,特に前頭部に広がり,眼輪筋と前頭筋および帽状腱膜,ならびに皮膚を養い,外側前頭動脈および内側前頭動脈とつながっています.
・頭頂枝
後方に向う終枝であって,前者よりも太いことが普通です.側頭筋膜の上で耳介の上方を越えて後方にすすみ,頭蓋骨を外から被っているものに枝をあたえます.
頭頂部では他側の同名動脈と吻合し,また前方と後方では近在の動脈枝とつながっています.


※変異
時として浅側頭動脈が眼動脈の終枝とかなり太い吻合をつくっていることがあります.またしばしば前頭枝の方が頭頂枝よりも太くて,それが頭頂部で1つの大きな弧を画き,この弧が後頭動脈とつながっています.
顔面横動脈が非常に太くなっていて,細い顔面動脈をおきなっていることがあり,また顔面横動脈がしばしば外頚動脈から出ています.


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●顎動脈Arteria maxillaris

顎動脈はいっそう太い終枝として外頚動脈から直角をなして出ます.その起始部は顎関節の下方にあって,耳下腺により被われています.この動脈はうねっていて下顎頚と蝶顎靱帯の間を水平に前方にすすみ,外側翼突筋と側頭筋のあいだに達します.
ついで外側翼突筋の両頭のあいだにいたり,そこを越えて翼口蓋窩にはいり,そこで終枝に分れます.
このことから顎動脈を以下の3部位に分けて理解します。

①下顎部  Pars mandibularis
②翼突部  Pars pterygoidea
③翼口蓋部  Pars pterygopalatina


①下顎部の枝(これはほとんどすべて骨内の管のなかに入ります)

・深耳介動脈
小さな枝で顎関節の後がわと外耳道および鼓膜にいたります.外耳道にゆく枝は鼓室部の前壁と錐体鼓室裂を貫きます.その枝の1本は鼓膜に達して,そこの皮膚層に広がっています

・前鼓室動脈
これもやはり顎関節を養うもので,ついで錐体鼓室裂にいたり茎乳突孔動脈とともに鼓室内の諸器官に分布し,また鼓室の壁に分布します.

・中硬膜動脈
これは脳硬膜にいたる血管のなかではいちばん太い動脈であって,また顎動脈のいちばん太い枝でもあることが多いです.下顎神経の硬膜枝とともに棘孔を通って頭蓋腔に入り,
その高低いろいろのところでそれぞれ1本の前枝と後枝に分れます.これらの枝は硬膜の外面に付着して骨壁の溝のなかを走り,そこで枝分れして脳膜と骨および(穿通枝により)頭蓋外面の軟部をも養っています.
前枝は前頭蓋窩・眼窩・鼻腔にまで達しますが,後枝は主に頭頂骨の領域と後頭骨の上部とに分布しています.

錐体鱗裂を通って1本の小枝が鼓室と乳突蜂巣にはいります.前枝と後枝に分かれる前の幹から若干の細い枝が出ますが,その1つは浅錐体枝とよばれて鼓膜張筋にいたり,他の1本は上鼓室枝といい顔面神経管裂孔を通って鼓室に入り,茎乳突孔動脈とつながっています.
第3の枝は小浅錐体神経管の内口を通って鼓室にいたります.眼動脈の枝と吻合します。

なお頭蓋の外で顎動脈,または中硬膜動脈が副硬膜枝を出していることが少なくない,これは内外の両翼突筋,口蓋から下方に向う諸筋,および耳管に枝をあたえ,また卵円孔を通って頭蓋腔にはいる杖をもって半月神経節と脳硬膜のこれに隣接する部分を養っています.

・下歯槽動脈
下顎管にいたり,その中をずっと走ってオトガイ孔から1本の太い側枝,オトガイ動脈を出しています.オトガイ動脈はオトガイと下唇で枝分れして,下唇動脈およびオトガイ下動脈の枝と吻合します.下顎管にはいる前に下歯槽動脈は長い顎舌骨筋枝を出し,
これは同名の神経とともに下顎骨の顎舌骨神経溝の中を顎舌骨筋に向かっています.下顎管の中を走るあいだに下歯槽動脈は多数の小枝を骨・歯槽・歯・歯肉に送っています.


②翼突部の枝(咀噛筋群にいたる)

・後深側頭動脈
頭蓋骨と側頭筋のあいだを上方にすすみ側頭筋の後部を養っています.
・前深側頭動脈
前者と同じく側頭筋の深部に達します.しばしば頬骨内の頬骨管をへて枝を涙骨動脈ならびに顔面に送っています.
・咬筋動脈
下顎切痕を通って咬筋に達します.その起始はしばしば後深側頭動脈とつながって1本になっています.
・翼突筋枝
内外の両翼突筋にいたる何本かの枝です.
・頬動脈
前下方に走って頬筋にいたり,この筋と付近の顔面筋に枝を分ち,顔面動脈の枝および顔面横動脈の枝と吻合しています.


③翼口蓋部の枝(これはほとんどすべて骨内の管にはいります)
これらの枝の多くは翼口蓋孔のすぐ近くで出ます.
・後上歯槽動脈
これは上顎結節にすぐ接する所で1本として出るか,あるいは数本の枝に分れて出ている,また眼窩下動脈といっしょに出ることもしばしばです.
うねりながら走って上顎骨の側頭下面にいたり,歯槽孔に入りそれに続く管や骨の溝を通っていきます.歯槽孔に入る前に少数の枝を出すが,これらは骨の外面にとどまって前下方に走り,
骨膜・歯肉・頬粘膜および頬筋に分布しています.
・眼窩下動脈
眼窩下管の中をずっと走って眼窩下孔を出て顔面にいたります.その途中で枝を眼窩の底にある眼筋にあたえます.下方に向かって出る枝が前上歯槽動脈で,これは眼窩下管から下方に出る細い管のなかをすすみ後上歯槽動脈とつながります.
後上歯槽動脈と前上歯槽動脈は上顎の骨,上顎洞の粘膜,上顎の歯槽,歯および歯肉の一部を養っています.眼窩下動脈の終枝は,すでにその出口のところで数本に分れて眼窩下孔の周囲の軟部に放散し,顔面にあるほかの動脈の枝と吻合します.
・下行口蓋動脈
翼口蓋管のなかを垂直に下行して小口蓋動脈という小枝を出すが,これは口蓋管を通り小口蓋孔を出て軟口蓋と扁桃に達しています.主枝である大口蓋動脈は大口蓋孔を通って硬口蓋にいたり,口蓋溝のなかを骨膜に密着しつづ前方に走ります.
前方の1小枝が切歯管を通って鼻中隔後動脈と吻合するが,そのほかの枝は硬口蓋の粘膜と腺,および歯肉を養います.後方の枝は上行口蓋動脈の枝と吻合しています.
・翼突管動脈
1本の小枝で,しばしば下行口蓋動脈から出ます.翼突管を通って後方にすすみ咽頭の上部,耳管,および鼓室に枝を分かち,上行口蓋動脈および茎乳突孔動脈と吻合します.
・翼口蓋動脈
翼口蓋孔を通って鼻腔の後上部にいたり何本かの枝に分かれます.そのうちの1本は翼突管動脈と平行に溝の中を咽頭の上端に向かって走り,そこで枝分れして上行口蓋動脈の枝と吻合します.
外側後鼻動脈はいっそう太い枝で,鼻腔の側壁にあって矢状方向に枝を送り,鼻甲介の両面,鼻腔底までの鼻道および前頭洞・上顎洞・篩骨洞の粘膜にいたります.
第3の枝は鼻中隔後動脈で鼻腔の天井で鼻中隔壁にいたり,上枝と下枝に分れる,下枝は切歯管を通って大口蓋動脈および上唇動脈の枝と吻合します.

※変異
顎動脈の起始するぐあいはほとんど一定しているが,ときおり顔面動脈から出ていることがあります.外側翼突筋に対する位置が変わっていることはまれではありません.
顎動脈が外側翼突筋の内側にある場合に(ヨーロッパ人では57%,日本人では6%)、この動脈はたいてい線維性の組織によって翼状突起の外側板の後縁にくつづいています.
中硬膜動脈はときどき涙腺動脈を出すが,その場合に後者がしばしば硬膜眼窩孔という特別な穴を通って眼窩にはいります.正常の場所から出ている涙腺動脈と細い吻合をしていることもまれではありません.
内頚動脈を欠如している1例で顎動脈が2本の枝を出し,これらの枝が正円管と卵円孔をへて頭蓋腔に入り内頚動脈の代りとなっていることがあります。.


●上行咽頭動脈Arteria pharyngica ascendens

上行咽頭動脈は細くて長い動脈で,外頚動脈からその起始の近くで起り,咽頭の側壁を上方に走り頭蓋底にまで達します.その枝は咽頭,深頚部の軟部,および頭蓋底に分布します.そのほかに不規則ながら小枝を頚部脊椎の前面にある諸筋にあたえています.
上行咽頭動脈の枝は以下があります。

・咽頭枝
通常2本の細い方の枝は中および下咽頭収縮筋(舌骨咽頭筋と喉頭咽頭筋)を養います.1本の太い方の枝は上咽頭収縮筋(頭咽頭筋).耳管,口蓋扁桃にいたります.
・後頭硬膜動脈
頚静脈孔か破裂孔,頚動脈管または舌下神経管を通って脳硬膜に達し,そこに枝を送ります.
・下鼓室動脈
鼓室神経とともに鼓室小管を通り中耳の岬角で枝分れします.

上行咽頭動脈の枝に上行口蓋動脈および翼突管動脈の枝と吻合します.

※変異
上行咽頭動脈はもっと上方で出ていることが時にあり,また時として後頭動脈から出たり内頚動脈から出たりします.重複していることもあり,またしばしば上行口蓋動脈がこれから出ています.




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